ヴァージニアヘンダーソン
は著書の中で以下のように記しています。
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看護師にできるのはただ、
看護師自身が考えている意味ではなく、
看護を受けるその人にとっての意味における健康、
その人にとっての意味における病気からの回復、
その人にとっての意味におけるよき死、
に資するようにその人が行動するのを助けることである。
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私が経営するデイサービスの理念で
『より佳く生きるサポート』を謳っています!
「佳く」とは、誰とも比較されない
その人にとっての美しさや品の良さを表す言葉です。
その人(たち)にとっての『より佳く生きるサポート』
とはどのようなことか?
【私(たち)自身が考えている意味ではない】
あくまでも利用者さま(相手)が主体だと考えます。
こちら側の都合を一方的に伝えるのではなく、
相手がどんな状態でどんな環境にあり、
どんな問題を抱えているか?
そして考えられる懸念材料(リスクファクター)は何か?
etc…
これらを理解しておくことが必要です。
完全には理解できないかもしれませんが、
可能な限り
コミュニケーションを重ねる
ことに尽きると思います。
【その人にとっての健康】
WHO 憲章では健康を以下のように定義しています。
「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、
単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。」
“Health is a state of complete physical,
mental and social well-being and not merely the absence
of disease or in rmity.”
健康という言葉は、単に人間の体だけに使われる言葉ではなく、
組織や個人のありたい姿として使われることがあります。
デイサービスでは、利用者さまの身体的・精神的な側面の健康管理も必要ですが、
レクリエーションや入浴、食事に臨む姿勢も、
その人にとっての健康として考えています。
それは『健康的』という表現になると思います。
一般の会社、組織、チームにおいても、
自分自身が考える健康と、従業員やメンバーが考える健康とは
完全一致はしないでしょう。
その人(たち)にとって、
どうなっているのが佳いか?
どうなりたいか?
どうありたいか?
コミュニケーションを重ねた上で
それらを承認し、理解し、
サポートを提案していくことが大切だと思います。
【その人にとっての病気からの回復】
病気からの回復は、
単に治療が完了したことではないと考えます。
健康を害し、療養をし続けた上で失った
体力、身体的機能、記憶、生活習慣、社会的地位など、
これらを完全形にすることに偏らない、
今ある強みをさらに生かす活動に入ることだと信じます。
ここでも軸にあるのは
「その人」本人であることを忘れてはいけません。
ちょっと声が大きい人の
「あの人には~~してあげたい!」が先行してしまいがちですが、
それがどんな『健康』に繋がるのか
今一度考えたいものです。
【その人にとってのよき死】
私の大大大好きなスティーブ・ジョブズの言葉に
Remembering that you are going to die is the best way I know
to avoid the trap of thinking you have something to lose.
You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
自分は死ぬのだと思い出すことが、敗北する不安にとらわれない最良の方法です。
我々はみんな最初から裸です。自分の心に従わない理由はないのです。
私が2017年3月にイスラエルで
死生観についてのワークショップを行いました。
死のイメージはどんなものか?
どんな死を迎えたいか?
それまでの時間、
どんな生き方をしたいか?
そんな問いかけを90分のワークショップに込めました。
12カ国の国も宗教も違う人たちが
「死」について話しました。
しかし、
どんな死を迎えたいか話すうちに、
「どう生きたいか」のエネルギー
が非常に強くなったことを思い出します。
「よき(佳き)死」は「よき(佳き)生」
であると私は考えます。
その人が自身の心に従い、
それは決してわがままを全て受け入れるのではなく、
その人にとっての美しさ、品の良さとは何か?思いを馳せることが
尊厳を守り抜くことに繋がると信じています。
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私が経営するデイサービスの理念で
『より佳く生きるサポート』を謳っているのは、
その人にとっての意味=尊厳
を大切にしたいからです。