「楽しい」とは辞書によると
満ち足りていて、愉快な気持ちのとき
とありました。
先日、私たちは、
利用者様の楽しんでいる姿を見て、
私たち自身も仕事が楽しいと感じた素晴らしい体験をしました。
このお互いの「楽しい」体験には、
関わり方に3つのポイントがありました。
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【「興味」から「行動」への促し】
ある男性の利用者様。
初めてのご利用だったので、デイサービスでどのように過ごしたいのか、
ご様子を見ながら声かけをしていきました。
私たちデイサービスの特徴の一つとして、
美術のワークを取り入れているので、
絵についてお訊ねし、オリジナル絵手紙の色を塗っていくことをオススメしてみました。
描きやすそうな絵をご本人にご覧頂き、
「興味」のありそうな「さつまいも」の下絵を選択。
本物のさつまいもをご本人の前に置き
手元に色鉛筆を準備しました。
【豊かな表現でのフィードバック】
絵は描いたことがないと仰っていた利用者様。
ワークに入ると
グッと集中し始めました。
それはすごい集中力で、6色の色鉛筆を使ってさつまいもの色を再現していました。
皆さんは、さつまいもをよ~~く眺めたことがありますか?
茶色、紫、黒、黄色、白色、ピンクなど、
よく見るといろんな色で構成されています。
利用者様は、その色の変化を感じ取り、
6本の色鉛筆を選んで着色していました。
完成まで30分はかかったと思います。
素晴らしい作品になっていました。
この時私は、
「素晴らしいですね」
「よくできましたね」
「上手ですね」
といきなり褒めることはせずに、
私の目にどのように映ったか
フィードバックしました。
「いろんな色が入っていますね」
「細かい色の変化がありますね」
「6本の色鉛筆を選んだのですね」
どんどん利用者様が笑顔になっていきました。
【成果を作る】
喜んで頂けたようで良かったとホッとしていましたが、
私は、すぐに筆ペンを渡し、
『何か書いてください』
とリクエストしてみました。
すると、
『いも好き ◯◯(お名前)』
と空いているスペースに筆を入れてくださいました。
書き終えたところで、私の顔を見て、
ニッコリ
笑顔を向けてくださいました!!
まるで
できたよ!!!
と言っているようでした。
もう私は泣きそうでした。
当施設を利用するまでに
どんな出来事があったのだろう?
働き盛りから退職、自身の老化を感じながら、
どんな気持ちで過ごしてきたのだろう?
いろんな想いが駆け巡りました。
落款が無いため、
会社の角印を準備し、
一緒に朱肉をつけて
はがきサイズの絵に押印しました。
さつまいもの絵手紙の完成です!!
完成した絵を見て、
利用者様は涙ぐんでいました。
私はそっとティッシュを渡しただけで
言葉はかけませんでした。
その時間を共有するだけで
十分幸せでした。
お昼をはさんで、
午後にも絵に挑戦していた利用者様。
とても楽しんでお帰りになりました。
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私たちは、この利用者様のエピソードについて、
それぞれが目の当たりにしたことを
話し合いました。
話し合うというより、
「ねえ聞いて!聞いて!」という感じで(笑)
私もスタッフも、
この日のサービスが楽しくて仕方がなかったのです。
利用者様とスタッフの両方が「楽しい」と感じる
満ち足りた環境を作ることが、
人々の
『より佳く生きる』
に貢献できると確信できました。
